無料プログラミングスクールはやめとけ?理由と失敗しない選び方

近藤輝優

プログラミング研究

在学中にWeb制作を学び、IT企業に就職。 キャリアスタート時は月100時間以上の残業がある労働環境に身を置くが、体調を壊してフリーランスになる。

無料プログラミングスクールやめとけ」という言葉をインターネットで見かけ、不安に感じていませんか。

プログラミングスキルを身につけたいけれど、費用は抑えたいと考えるのは自然なことです。

しかし、なぜ無料のサービスに対して、これほど否定的な意見があるのでしょうか。

2chなどの掲示板では、無料スクールはカモを見つけるための罠であり、受講するだけ時間の無駄で必要ないとまで言われることがあります。

そこでは、メリットよりも多くのデメリットが語られ、スクールの厳しい現実が指摘されています。

例えば、期待していたサポート内容とは異なり、経験の浅い講師が担当だったり、卒業後の進路がインフラエンジニアの監視業務など、望まない職種に限定されたりするケースです。

この記事では、まず「なぜ無料」で運営できるのか、そのビジネスモデルの仕組みから解説します。

そして、独学との比較も交えながら、無料プログラミングスクールの実態、特に子供向けスクールとは異なるキャリアを見据えた際の注意点を深掘りします。

最終的には、あなたの目的に合った後悔しないスクールの選び方や、悪質なサービスの見分け方まで、具体的な情報を提供します。

この記事を読むことで、以下の点が明確になります。

記事のポイント

  • 「やめとけ」と言われる具体的な理由
  • 無料スクールのビジネスモデルと注意点
  • 後悔しないための優良なスクールの選び方
  • あなたに合った学習方法を見極めるポイント

なぜ「無料プログラミングスクールはやめとけ」と言われるのか

なぜ「無料プログラミングスクールはやめとけ」と言われるのか

無料という言葉には強い魅力がありますが、プログラミングスクールの世界では、その裏にある仕組みを理解しないと後悔につながる可能性があります。

ここでは、「やめとけ」と言われる主な理由を6つの観点から詳しく解説していきます。

  • なぜ無料なのか?そのビジネスモデル
  • 知っておくべきデメリットとは
  • 「カモにされる」と言われる理由
  • 卒業生の厳しい進路の現実
  • 質が低いと噂される講師の実態
  • インフラエンジニア斡旋の落とし穴

なぜ無料なのか?そのビジネスモデル

なぜ無料なのか?そのビジネスモデル

無料プログラミングスクールが受講料なしで運営できるのには、明確な理由が存在します。

それは、多くのスクールが卒業生を提携企業に紹介し、その企業から成功報酬として「人材紹介料」を受け取るビジネスモデルを採用しているからです。

この仕組みは、一見すると受講生、スクール、企業の三方にとって良い関係に見えるかもしれません。

受講生は費用をかけずにスキルを学べ、企業は教育された人材を採用でき、スクールは紹介料で利益を得られます。

しかし、この構造には注意が必要です。

スクールの主な収益源が受講料ではなく紹介料であるため、教育の質を高めることよりも、一人でも多くの卒業生を提携企業へ「就職させること」が最優先される傾向があります。

言ってしまえば、受講生はスクールにとって「教育の対象」であると同時に、企業へ紹介するための「商品」という側面も持つのです。

このビジネスモデルが、後述する様々なデメリットを生む根本的な原因になっていると考えられます。

知っておくべきデメリットとは

知っておくべきデメリットとは

無料であることの裏返しとして、受講生が受け入れなければならないデメリットやリスクが存在します。

これらを理解しておくことが、後悔しないための第一歩となります。

最大のデメリットは、キャリアの選択肢が著しく制限されることです。

多くの無料スクールでは、提携している特定の企業(主にSES企業)への就職が、無料受講の条件となっています。

そのため、自分が本当に入りたい自社開発企業や受託開発企業があっても、自由に選ぶことはできません。

また、途中で学習を断念したり、スクールの紹介する企業以外に就職したりした場合に、高額な「違約金」を請求されるケースも少なくありません。

契約書に細かい文字で記載されていることが多く、安易に契約してしまうと、後で大きな金銭的負担を強いられる危険性があります。

さらに、カリキュラムの質が低い可能性も否定できません。

利益を最大化するために、教育コストを抑えるスクールも存在します。

その結果、基礎的な内容に終始し、現場で求められる実践的なスキルが身につかないまま、転職活動に臨むことになる場合もあります。

項目 無料プログラミングスクール 有料プログラミングスクール
費用 原則無料(違約金リスクあり) 数十万~百万円以上
就職先の自由度 低い(提携企業に限定されがち) 高い(自由に選択可能)
カリキュラムの質 バラつきが大きい(基礎中心の場合も) 高い傾向(実践的な内容が多い)
サポート体制 就職斡旋が中心 スキル習得とキャリア形成が中心

このように、無料プログラミングスクールと有料スクールには明確な違いがあります。

目先の費用だけでなく、長期的なキャリアを見据えた上で、どちらが自分にとって有益かを慎重に判断することが求められます。

「カモにされる」と言われる理由

「カモにされる」と言われる理由

インターネット上で「無料プログラミングスクールはカモを探している」という厳しい意見が見られるのは、スクールの利益構造に起因します。

前述の通り、スクールは卒業生を企業に紹介することで収益を得ています。

このため、一部のスクールでは、受講生一人ひとりのキャリアプランや適性を十分に考慮せず、とにかく提携企業に入社させようとする動きが見られます。

スクール側からすれば、入社難易度が低く、多くの人材を求めている企業に斡旋する方が、ビジネスとして効率が良いからです。

その結果、本人がWebサービス開発を希望していても、本人の意向とは異なる分野の企業や、スキルアップが見込めない単純作業ばかりの案件を扱う企業を強く勧められることがあります。

受講生がためらっても、「まずは実務経験を積むことが大事」「ここで断ると保証の対象外になる」といった言葉で、半ば強制的に承諾させようとするケースも報告されています。

このような状況が、「受講生の将来よりもスクールの利益が優先されている」「まるでカモにされているようだ」という不信感につながっているのです。

卒業生の厳しい進路の現実

卒業生の厳しい進路の現実

無料プログラミングスクールの広告では、華やかなWeb業界で活躍するイメージが打ち出されることが多いですが、卒業生の進路の現実は、必ずしもそうではありません。

実際には、卒業生の多くがSES(システムエンジニアリングサービス)と呼ばれる業態の企業に就職しています。

SES自体が悪いわけではありませんが、働き方に特徴があります。

SES企業は、自社のエンジニアを顧客企業に常駐させて技術力を提供するため、勤務地やプロジェクトの内容は常駐先によって大きく変わります。

問題なのは、未経験者向けの常駐先として紹介される案件の中には、プログラミングスキルがほとんど向上しない「ロースキル案件」が少なからず存在することです。

例えば、ひたすらマニュアルに沿ってテストを繰り返すテスター業務や、システムの監視、PCの初期設定といった業務ばかりを担当させられる可能性があります。

このような環境では、数年間働いても市場価値のあるスキルが身につかず、その後のキャリアアップが非常に困難になります。

「エンジニアとして成長したい」という本来の目的を果たせないまま、時間だけが過ぎてしまうという厳しい現実に直面する人もいるのです。

質が低いと噂される講師の実態

質が低いと噂される講師の実態

プログラミング学習において、指導者である講師の質は学習効果を大きく左右します。

しかし、一部の無料スクールでは、この講師の質に問題があるケースが指摘されています。

コストを抑えるため、現場での開発経験がほとんどない、あるいは全くない学生アルバイトなどを講師として採用しているスクールが存在します。

そのような講師の場合、カリキュラムに書かれている内容を教えることはできても、そこから一歩踏み込んだ実践的な質問や、現場で発生しがちなトラブルシューティングに関する質問には、的確に答えられないことがあります。

質問への回答が遅かったり、的外れな内容だったりすると、学習の効率は著しく低下し、モチベーションの維持も難しくなります。

本来、プログラミングスクールを利用する大きなメリットの一つは、独学では解決が難しい問題を専門家に質問できる点にあります。

このメリットが享受できないのであれば、高い受講料を払う有料スクールはもちろん、たとえ無料であってもスクールに通う価値は薄れてしまうと考えられます。

インフラエンジニア斡旋の落とし穴

インフラエンジニア斡旋の落とし穴

プログラミングを学んだ後の進路として、「インフラエンジニア」を斡旋されるケースもよく見られます。

インフラエンジニアは、サーバーやネットワークといったITシステムの基盤を支える重要な職種ですが、ここにも注意すべき落とし穴があります。

本来、インフラの設計や構築には高度な専門知識が求められます。

しかし、未経験者に斡旋される「インフラエンジニア」の求人の中には、実態が「監視オペレーター」や「ヘルプデスク」である場合が少なくありません。

監視オペレーターやヘルプデスクの実態

これらの業務は、24時間365日、システムに異常がないかをモニターで監視したり、マニュアル通りの定型的なコマンドを入力したり、社内のPCトラブルに関する問い合わせに対応したりすることが中心です。

プログラミングスキルを活かす場面はほとんどなく、スキルアップにも繋がりにくいのが実情です。

にもかかわらず、「インフラエンジニアとしてのキャリアをスタートできる」といった魅力的な言葉で紹介されるため、本人はエンジニアとしてのキャリアを歩んでいると誤解してしまいます。

数年後に転職を考えたとき、市場で評価されるスキルが何もないことに気づき、キャリアチェンジが困難になるという悲惨なケースも後を絶ちません。

求人票の職種名だけでなく、具体的な業務内容をしっかりと確認することが不可欠です。

「無料プログラミングスクールはやめとけ」で終わらない対策

無料プログラミングスクールはやめとけ」で終わらない対策

これまでの内容で、無料プログラミングスクールに潜むリスクや問題点をご理解いただけたかと思います。

しかし、すべての無料スクールが悪質というわけではなく、また経済的な理由から無料の選択肢を検討したい方もいるでしょう。

ここでは、リスクを回避し、後悔しないためにどうすればよいのか、具体的な対策と選び方を解説します。

  • 悪質なスクールの見分け方を解説
  • 失敗しないスクールの選び方のコツ
  • 必ず確認したいサポート内容
  • プログラミングを学ぶ目的を明確に
  • 「無料プログラミングスクールはやめとけ」の結論

悪質なスクールの見分け方を解説

悪質なスクールの見分け方を解説

後悔しないためには、まず「通ってはいけないスクール」を見抜く視点を持つことが大切です。

契約前に、以下のポイントを冷静にチェックしてください。

広告やカウンセリングの言葉に注意する

「誰でも簡単になれる」「未経験から月収〇〇万円確実」といった、現実離れした甘い言葉で受講生を集めようとする広告には注意が必要です。

また、無料カウンセリングの場で、メリットばかりを強調し、デメリットやリスクについてほとんど説明しないスクールも信頼できません。

「今日契約すれば割引」などと即決を迫るような強引な勧誘も、危険な兆候と考えられます。

契約内容の透明性を確認する

受講料以外に追加費用が発生しないか、総額はいくらになるのかを明確にしましょう。

特に、中途解約の条件や違約金の有無、その金額については、契約書を隅々まで読み込み、納得できるまで質問することが不可欠です。

「特定商取引法に基づく表記」がWebサイトに明記されているかも、信頼できる運営会社かどうかの判断基準になります。

失敗しないスクールの選び方のコツ

失敗しないスクールの選び方のコツ

悪質なスクールを避けた上で、さらに自分に合ったスクールを選ぶためには、いくつかのコツがあります。

カリキュラムの具体性と実践性を確認する

「Web開発の基礎」といった曖昧な説明ではなく、どの技術をどのレベルまで学ぶのか、カリキュラムが具体的であるかを確認します。

また、技術トレンドは日々変化するため、内容が古くなっていないか、定期的に更新されているかも重要なポイントです。

実際に手を動かしてオリジナル作品を開発するような、実践的な演習が十分に用意されているスクールを選ぶのが望ましいです。

卒業生の進路の「質」に注目する

単に「転職率99%」といった数字だけでなく、卒業生がどのような企業に、どのような職種で就職しているのか、その「質」を確認しましょう。

もしあなたがWeb系の自社開発企業を目指しているのであれば、実際にそうした企業への転職実績が豊富なスクールを選ぶべきです。

具体的な就職先企業名が公開されているかどうかも、一つの判断材料になります。

必ず確認したいサポート内容

必ず確認したいサポート内容

スクールが提供するサポート内容は、学習の成果やキャリア形成に直結します。

特に以下の点については、契約前に具体的に確認しておくべきです。

講師・メンターの質と体制

講師やメンターが、どのくらいの期間、どのような実務経験を持つ現役のエンジニアなのかを確認しましょう。

質問への対応時間や方法(チャット、ビデオ通話など)、質問回数に制限はないかなどもチェックポイントです。

エラー解決だけでなく、学習の進め方の相談や、ポートフォリオに対するコードレビューまで手厚く行ってくれるかどうかが、スキルの伸びを左右します。

転職サポートの具体性

転職サポートを謳うスクールは多いですが、その内容は千差万別です。

「求人を紹介するだけ」で終わるのか、それとも履歴書・職務経歴書の添削、模擬面接、自己分析のサポートまで、一人ひとりに寄り添ってくれるのかで、転職活動の成功率は大きく変わります。

どのような企業の求人を紹介してもらえるのか、選択肢の幅についても事前に確認しておくと、入校後のミスマッチを防げます。

プログラミングを学ぶ目的を明確に

プログラミングを学ぶ目的を明確に

どのようなスクールを選ぶかを考える前に、最も大切なのは「自分はなぜプログラミングを学びたいのか」という目的を明確にすることです。

目的が曖昧なままでは、学習のモチベーションを維持することが難しく、途中で挫折してしまう可能性が高くなります。

例えば、「Web系の自社開発企業に転職して、自由な働き方を実現したい」「需要の高いスキルを身につけて、市場価値を高めたい」「自分で考えたアプリを作ってみたい」など、目的は人それぞれです。

目的が具体的になれば、学ぶべき言語(Ruby, PHP, Javaなど)や技術領域が見えてきます。

そして、その技術領域に強みを持ち、あなたの目的達成をサポートしてくれる体制が整ったスクールはどこなのか、という基準で比較検討できるようになります。

もし目的がまだ漠然としている場合は、いきなりスクールに申し込むのではなく、まずはオンラインの学習サービスなどでプログラミングに触れてみて、本当に面白いと感じるか、適性があるかを探ってみるのも良い方法です。

総括:「無料プログラミングスクールはやめとけ」の結論

総括

この記事を通して、無料プログラミングスクールが「やめとけ」と言われる理由から、リスクを回避して自分に合ったスクールを選ぶための対策まで解説しました。

最後に、重要なポイントをまとめます。

  • 無料の理由は企業からの人材紹介料で運営されているため
  • ビジネスモデル上、受講生のキャリアよりスクールの利益が優先されることがある
  • 就職先がSES企業に限定されたり、選択の自由がなかったりするデメリットが存在する
  • 途中退校などで高額な違約金を請求されるリスクに注意が必要
  • カリキュラムや講師の質が低い可能性も考慮しなくてはならない
  • 紹介される求人がスキルアップに繋がらないロースキル案件の場合がある
  • 「インフラエンジニア」という名目で監視業務などに斡旋されるケースもある
  • 「誰でも簡単」などの甘い広告文句を掲げるスクールは危険信号
  • 契約前に料金体系や違約金の条件を徹底的に確認することが不可欠
  • 講師が実務経験豊富なエンジニアであるかを確認する
  • 卒業生の具体的な就職先や進路の質を見極めることが大切
  • 自分の学習目的を明確にすることが、最適なスクール選びの第一歩
  • 全ての無料スクールが悪質ではないが、慎重な情報収集と見極めが求められる
  • 無料カウンセリングを活用し、サポートの具体性やスクールの姿勢を直接確認する
  • 有料スクールや独学という選択肢も含め、総合的に自分に合った学習方法を判断する

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

今回は、「無料プログラミングスクールはやめとけ」と言われる理由から、後悔しないための具体的な選び方までを詳しく解説しました。

無料という言葉は魅力的ですが、その裏には企業からの紹介料で成り立つビジネスモデルが存在します。

そのため、就職先が限定されたり、学習の質が期待通りでなかったりといったデメリットがあることも事実です。

しかし、全ての無料スクールが悪いわけではなく、中には良質な教育を提供しているところもあります。

大切なのは、これらのリスクを理解した上で、スクールの実態を慎重に見極めることです。

この記事で紹介した「見分け方」や「選び方のコツ」を参考に、まずは気になるスクールの無料カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

複数のスクールを比較し、ご自身の学習目的やキャリアプランと本当に合っているのかをじっくりと確かめることが、成功への第一歩となります。

目先の費用だけに捉われず、あなたの未来にとって最良の選択をしてください。

この記事が、エンジニアとしての素晴らしいキャリアを築くための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。