「ヘルプデスクはやめとけ」は本当?後悔しないための全知識

近藤輝優

プログラミング研究

在学中にWeb制作を学び、IT企業に就職。 キャリアスタート時は月100時間以上の残業がある労働環境に身を置くが、体調を壊してフリーランスになる。

ヘルプデスクやめとけ」という意見を目にして、転職や就職に不安を感じていませんか。

ヘルプデスクの仕事は底辺精神的に病むといったネガティブな声がある一方で、楽しいと感じる人もいます

本記事では、社内ヘルプデスクなどの具体的な業務における問題点やイライラの原因、そして仕事の難易度や気になる年収、将来性まで徹底解説します。

未経験でもできるのか、向いている人や向いていない人の特徴、さらにはメリットとデメリットを比較し、あなたが後悔しない選択をするための情報を提供します。

記事のポイント

  • 「やめとけ」と言われる具体的な理由がわかる
  • ヘルプデスクの仕事のメリットとやりがいがわかる
  • 求められるスキルや年収、将来性がわかる
  • 自分にヘルプデスクが向いているか判断できる

なぜ「ヘルプデスクはやめとけ」と言われる?

  • ヘルプデスクの具体的な問題点
  • 仕事のデメリットと低い年収の実態
  • イライラして病むという声も
  • ヘルプデスクは底辺と言われる理由

ヘルプデスクの具体的な問題点

ヘルプデスクの具体的な問題点

ヘルプデスクの主な問題点は、業務負荷の高さ、対応範囲の広さ、そして業務の属人化にあると考えられます。

多様な問い合わせが予期せぬタイミングで集中するため、一人ひとりの担当者にかかる負担が大きくなりがちです。

このため、常に複数のタスクを抱えながら、優先順位を判断して対応していく必要があります。

また、ヘルプデスクの業務範囲は明確に定義されていないことも多く、IT関連の雑務全般を「何でも屋」のように担うケースも少なくありません。

例えば、システムのトラブル対応と並行して、PCのセットアップやソフトウェアのインストール依頼が同時に舞い込むことがあります。

さらに、特定の担当者しか知らないノウハウや解決策が蓄積されてしまう「業務の属人化」も深刻な問題です。

この状態に陥ると、担当者が不在の時や退職した際に業務が滞り、組織全体の効率を著しく低下させる原因となります。

これらの問題点が、ヘルプデスク業務の難しさや大変さにつながっています。

仕事のデメリットと低い年収の実態

仕事のデメリットと低い年収の実態

ヘルプデスクとして働く上での大きなデメリットは、専門性が深まりにくいという点と、他のIT専門職と比較して年収が低い傾向にあることです。

まず、業務の性質上、非常に幅広い問い合わせに対応する必要があるため、広く浅い知識が求められがちです。

これにより、特定の技術分野を深く追求する機会が少なくなり、専門家としてのキャリアを築きにくい側面があります。

この点が、将来的なキャリアアップを考えた際の障壁となる可能性は否定できません。

そして、この専門性の深まりにくさが、結果として年収が上がりにくい構造を生んでいます。

インプットした情報によると、ヘルプデスクの平均年収は300万円台後半から450万円程度が相場とされています。

未経験からでも挑戦しやすいという利点がある一方で、経験を積んでも大幅な年収アップは期待しにくいのが実情です。

職種 平均年収(参考)
ヘルプデスク 約350万円~450万円
ネットワークエンジニア 約450万円~600万円
システムエンジニア 約450万円~650万円
プロジェクトマネージャー 約600万円~

もちろん、スキルや勤務先によって差はありますが、ITエンジニア全体の平均と比較すると、やや低い水準にあることは、この仕事を選ぶ上で認識しておくべきデメリットと言えます。

イライラして病むという声も

イライラして病むという声も

クレーム対応の多さや、問題解決に至らない時のプレッシャーから、精神的に「イライラ」したり、時には「病む」と感じたりする人がいるのは事実です。

ユーザーはシステムが使えず業務が滞っているなど、何かしら困っている状態で問い合わせてくるため、感情的になっているケースが少なくありません。

そのため、ヘルプデスク担当者は厳しい言葉を冷静に受け止めなければならない場面に直面します。

例えば、何度も同じ説明をしても理解してもらえなかったり、製品やサービスとは直接関係のない理不尽な要求をされたりすることもあります。

また、原因がなかなか特定できず、ユーザーを長時間待たせてしまう状況は、担当者にとって大きなストレスとなります。

特に緊急性の高いトラブルが自分の力だけでは解決できないまま終業時間を迎えると、その精神的な負担を抱えたまま帰宅することにもなりかねません。

このようなストレスの積み重ねが、心身の不調につながってしまう可能性をはらんでいるのです。

ヘルプデスクは底辺と言われる理由

ヘルプデスクは底辺と言われる理由

ヘルプデスクが「底辺」と揶揄されてしまう背景には、いくつかの理由が考えられます。

主な理由としては、業務の一部がマニュアル化されがちで高度な専門スキルが身につきにくいというイメージと、未経験者歓迎の求人が多いことから「誰でもできる仕事」と見なされがちだからです。

特に、一次対応と呼ばれるような簡単な問い合わせ業務は、詳細なマニュアルが整備されていることが多く、それに沿って対応することが中心となります。

このため、高度な技術開発や設計に携わる他のIT職種と比べて、専門性が低いと見られてしまう傾向があります。

加えて、近年ではAIやチャットボットの進化により、簡単な質問応答は自動化される可能性が指摘されています。

これが、ヘルプデスクという仕事の将来性を不安視させ、「いずれなくなる仕事」というイメージにつながっている面も否定できません。

前述の通り、社内での評価が直接的な利益貢献部署に比べて低くなりがちなことや、給与水準が上がりにくいことも、この職種が「ステップアップのための通過点」あるいは「底辺」という不名誉な言葉で語られる一因となっています。

「ヘルプデスクはやめとけ」は本当か?実態を解説

  • 仕事のメリットと楽しいと感じる瞬間
  • 未経験でもできる?その難易度は
  • 社内ヘルプデスクの仕事内容
  • ヘルプデスクに向いている人の特徴
  • ヘルプデスクに向いていない人の特徴
  • 気になるヘルプデスクの将来性

仕事のメリットと楽しいと感じる瞬間

仕事のメリットと楽しいと感じる瞬間

「やめとけ」という意見がある一方で、ヘルプデスクの仕事には大きなメリットや、「楽しい」と感じられる魅力的な側面も数多く存在します。

最大のメリットは、ユーザーから直接「ありがとう」という感謝の言葉を受け取れる機会が非常に多いことです。

ユーザーが抱える「困った」という状況を解決する最前線の役割を担うため、問題が無事に解決した際には、その働きがダイレクトに感謝として返ってきます。

このことが、仕事への大きなやりがいやモチベーションにつながります。

例えば、自分でも原因がわからず、粘り強く調査を重ねて複雑なトラブルを解決に導いた時の達成感は格別なものがあります。

また、日々さまざまな問い合わせに触れることで、ITに関する基礎知識から、特定の業務システムに関する深い知見まで、自然と幅広い知識が身につくことも大きなメリットです。

このように、人の役に立っていると強く実感できる点や、自身の知的好奇心を満たしながら成長できる点に、楽しさや魅力を感じる人は少なくありません。

未経験でもできる?その難易度は

未経験でもできる?その難易度は

結論から言うと、ヘルプデスクはIT職種の中でも未経験者が挑戦しやすい職種です。

しかし、その業務の難易度は、担当する業務範囲や勤務先によって大きく異なります。

多くの企業がヘルプデスク職で未経験者向けの求人を出しており、入社後の研修制度が充実している場合が多いため、IT業界のキャリアをスタートさせる入り口として非常に適しています。

基本的なパソコン操作スキルと、人と円滑にコミュニケーションを取る能力があれば、まずはスタートラインに立つことが可能です。

業務レベルによる難易度の違い

業務レベルによる難易度の違い

業務の難易度は、主に「一次対応」か「二次対応」かによって変わってきます。

  • 一次対応 簡単な操作方法の案内や、よくある質問への回答、専門部署への問い合わせの振り分け(エスカレーション)などが中心です。

    このレベルであれば、マニュアルが整備されていることが多く、難易度は比較的低いと言えます。

  • 二次対応(テクニカルサポート) 一次対応で解決できなかった、より専門的な技術調査や複雑な問題解決を担います。

    OSやネットワーク、データベースなどの深い知識が求められ、難易度は格段に上がります。

このように、担当する業務によって求められるスキルレベルには大きな幅があります。

資格で例えるなら、ITの基礎知識を証明する「ITパスポート」レベルから、より専門的な知識を問われる「基本情報技術者試験」レベルまで、その難易度は様々です。

社内ヘルプデスクの仕事内容

社内ヘルプデスクの仕事内容

社内ヘルプデスクは、その名の通り、自社の従業員を対象として、社内で利用されているITシステムやパソコン、周辺機器に関するあらゆるサポート業務を行う仕事です。

会社の業務を円滑に進める上で不可欠な役割であり、従業員がIT関連で困った際の「駆け込み寺」のような存在と言えるでしょう。

その業務内容は非常に多岐にわたります。

例えば、「パソコンが起動しない」「社内ネットワークに繋がらない」といった基本的なトラブルシューティングから、以下のような業務まで担当します。

  • アカウント管理 新入社員のメールアカウントや各種システムへのアクセス権限の発行、退職者のアカウント削除などを行います。

  • PCキッティング 新しく従業員に貸与するパソコンの初期設定や、必要なソフトウェアのインストール作業です。

  • ソフトウェア・システムのサポート 社内で導入している会計ソフトや顧客管理システムなどの操作方法に関する質問に答えたり、マニュアルを作成したりします。

  • IT資産管理 会社が保有するパソコン、モニター、プリンターなどのIT機器の台帳を管理し、棚卸しや故障時の修理手配、新規購入の手続きなども行います。

時には、部署からの要望に応じて業務効率化のための新しいツール導入を検討・提案することもあり、単なる受け身のサポートに留まらず、社内のIT環境全体を支える重要な役割を担っています。

ヘルプデスクに向いている人の特徴

ヘルプデスクに向いている人の特徴

ヘルプデスクという仕事で活躍するためには、特定の適性が求められます。

何よりもまず、高いコミュニケーション能力を持ち、人の役に立つことに喜びややりがいを感じられる人が向いていると言えます。

ユーザーが抱える問題を正確にヒアリングし、それを基に分かりやすく解決策を伝えるスキルが、業務の中核をなすからです。

また、予期せぬトラブルにも冷静に対処できる忍耐力や、粘り強く原因を追求する問題解決能力も不可欠です。

具体的には、以下のような特徴を持つ人がヘルプデスクとして能力を発揮しやすいと考えられます。

相手の話を丁寧に聞ける傾聴力

相手の話を丁寧に聞ける傾聴力

ユーザーが本当に何に困っているのか、その言葉の裏にある本質を正確に把握する力は非常に大切です。

焦っている相手の話にもじっくりと耳を傾けられる人が求められます。

物事を順序立てて説明できる論理的思考力

物事を順序立てて説明できる論理的思考力

複雑なトラブル解決の手順も、相手のITリテラシーに合わせて専門用語を避け、誰にでも理解できるように噛み砕いて説明する能力が鍵となります。

知的好奇心が旺盛な人

知的好奇心が旺盛な人

IT技術や新しい社内システムは次々と導入されます。

これらについて学ぶことを楽しめる人は、自身の知識の幅を広げ、より質の高いサポートを提供できるようになります。

冷静さを保てる精神力

冷静さを保てる精神力

前述の通り、時には厳しいクレーム対応も発生します。

そのようなストレスのかかる状況でも感情的にならず、プロフェッショナルとして冷静に対応できる精神力は、この仕事において大きな強みとなります。

ヘルプデスクに向いていない人の特徴

ヘルプデスクに向いていない人の特徴

一方で、特定の特性を持つ人にとっては、ヘルプデスクの仕事が苦痛に感じられる可能性があります。

自分自身の適性を見極めるために、どのような人が向いていないのかも理解しておくことが大切です。

例えば、以下のような特徴に当てはまる場合、この仕事を選択する際には慎重な検討が必要かもしれません。

人と話すのが根本的に苦手

人と話すのが根本的に苦手

ヘルプデスクは、電話、チャット、時には対面でのユーザーとの対話が業務の中心です。

人とコミュニケーションを取ること自体に強いストレスを感じる方にとっては、日々の業務が精神的に大きな負担となるでしょう。

継続的な学習が嫌い

継続的な学習が嫌い

IT技術や社内で利用されるソフトウェアは、常に進化・更新されていきます。

これに伴い、ヘルプデスクも常に新しい知識をインプットし続ける必要があります。

自ら学んでいく意欲がないと、次第にユーザーからの問い合わせに対応できなくなってしまいます。

気持ちの切り替えが苦手

気持ちの切り替えが苦手

ユーザーからの厳しい言葉や、解決できないトラブルに対する無力感を長く引きずってしまうタイプの方は注意が必要です。

日々の業務で受けるストレスをうまく発散できずに溜め込んでしまうと、心身の健康に影響を及ぼす可能性があります。

ひとつの専門分野を深く追求したい人

ひとつの専門分野を深く追求したい人

前述の通り、ヘルプデスクの業務は広く浅い知識を求められる傾向にあります。

そのため、プログラミングやデータベース設計など、特定の専門分野を深く掘り下げていきたいと考えている方には、物足りなく感じられる場面が多いと考えられます。

気になるヘルプデスクの将来性

気になるヘルプデスクの将来性

ヘルプデスクという職種の将来性は、単純作業に終始するか、あるいは付加価値の高いスキルを身につけていくかで、大きく二極化していくと考えられます。

その理由は、テクノロジーの進化、特にAI技術の発展にあります。

「パスワードを忘れた」「簡単な操作方法が知りたい」といった定型的でよくある質問への対応は、今後ますますAIを搭載したチャットボットなどに代替されていくでしょう。

これにより、単純な問い合わせ対応を主とするヘルプデスクの需要は減少する可能性があります。

しかし、これはヘルプデスクの仕事が完全になくなることを意味するわけではありません。

むしろ、人間にしかできない業務の価値が、より一層高まることを示唆しています。

例えば、AIでは対応が難しい、前例のない複雑なシステム障害のトラブルシューティングや、ユーザーの言葉にできない潜在的なニーズを汲み取って、業務改善に繋がるような提案ができる人材の需要は、今後も高まり続けます。

また、ヘルプデスクで培った幅広いITの基礎知識と顧客対応スキルは、他の専門職へキャリアアップするための強力な土台となります。

この経験を活かして、社内SEやインフラエンジニア、さらにはITコンサルタントといった、より専門性の高い職種へとステップアップしていく道筋を描くことも十分に可能です。

したがって、自身のキャリアをどう築いていくかという視点を持つことで、ヘルプデスクの将来性は大きく開けてくると言えます。

総括:ヘルプデスクはやめとけは、総合的に判断しましょう

総括

この記事では、ヘルプデスクの仕事に関する様々な側面を解説しました。

最終的に「ヘルプデスクはやめとけ」という意見を受け入れるかどうは、ご自身の価値観とキャリアプランによります。

以下のポイントを参考に、総合的に判断してみてください。

  • ヘルプデスクは「やめとけ」という意見には理由がある
  • 主な問題点は業務負荷、広い対応範囲、属人化
  • デメリットは専門性が深まりにくく年収が低い傾向にあること
  • クレーム対応などで精神的に病むと感じる人もいる
  • 「底辺」というイメージはマニュアル業務や未経験歓迎の求人が多いため
  • 一方で、直接感謝される機会が多く「楽しい」と感じるメリットもある
  • 問題解決を通じて大きな達成感を得られる
  • ITの幅広い基礎知識が身につく
  • 未経験からIT業界に挑戦しやすい職種である
  • ただし難易度は担当業務(一次/二次対応)によって異なる
  • 社内ヘルプデスクは社内IT環境を支える重要な役割
  • コミュニケーション能力と知的好奇心がある人が向いている人
  • 人と話すのが苦手な人や専門性を追求したい人は向いていない人
  • 将来性はAIに代替される部分と、人にしかできない部分に二極化する
  • キャリアアップを視野に入れることで将来性は大きく広がる

今回は、「ヘルプデスクはやめとけ」というキーワードを軸に、その仕事内容、メリット・デメリット、そして将来性について多角的に解説しました。

記事を通してご理解いただけたように、ヘルプデスクの仕事には、クレーム対応のストレスや専門性が深まりにくいといった厳しい側面があるのは事実です。

これらの点だけを見ると、「やめておいた方が良い」と感じるかもしれません。

しかしその一方で、ユーザーから直接感謝される大きなやりがいや、IT業界でキャリアを築くための幅広い基礎知識を得られるという、他では得がたい魅力も存在します。

大切なのは、表面的な評判や他人の意見に流されるのではなく、ご自身の性格や価値観、そして将来のキャリアプランと照らし合わせ、冷静に判断することです。

この仕事は、ある人にとっては「避けるべき道」かもしれませんが、別の人にとってはキャリアを切り拓くための最高の「第一歩」となり得ます。

この記事が、あなたが後悔のないキャリアを選択するための、一つの判断材料となれば幸いです。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。